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ヒロタが綴る日々の出来事

晴れの庭

2020.2/19

天気の良い日だった。雨、曇り、雪と続けば晴れただけで心躍るのが人情というもの。本日の制作をし、合間に積雪・落ち葉・土砂の積もりで流れの悪くなった裏庭の小川をスコップで掻き出して水を流れやすくした。もっと念入りにやりたいが腰が痛くなるのだ程ほどに。この水は池に流れる。池にはじっとしている鯉がいる。冬だから。融雪のため私道に流している水のバルブも一旦閉めた。何かしたら何か良くなる、変化する。暮らしの小さいことだけどそれはうれしい。

creemaのオーダーがパタパタと入っております。ありがとうございます!お受けした順番にしっかり仕上げてまいりますので、楽しみにお待ちいただけましたら幸いです。

むかしむかし

2020.2/16

保育所に通っていた頃、お昼に脱脂粉乳がよく出ました。甘くて人肌で皮が張っていてどうにも美味しくないそれがなかなか飲めなくていたら、ある時先生に無理やり器を口に当てられて飲まされました。そのことは今でもはっきりと覚えています。当時のわたしはショックのあまりそれを頭の中で理解することができず、大人になってからようやく、苦しかった、嫌なことをされた、あれは怒っても良かったし泣けば良かったし親に言いつければ良かったのだと気づきました。いつでも理解が追いつかない、信じられないことが起こったら思考が止まりがちになるし、飲めなかった自分こそが悪いのではないか、とだけ思ってしまいます。これは思考のくせ毛で好きではない部分であり、大人になってもその性格はあまり変わらなくて嫌だなと思っていたので、ある時からなるべくすぐに頭をフル回転させて嫌いなものは嫌いだと素直に思うようにしています。自分の事情(脱脂粉乳が嫌い)も先生の事情(栄養のあるものを飲ませないといけない、嫌なものでも我慢して飲むことを覚えさせなくてはいけない←断固否定する、飲まないことにイライラした、プライベートで嫌なことがあったなど)も関係ない。すぐに言うのはなかなかできないことも多いし言い方を考えないといけないし、感情的な言葉は角だけが立つので、まずはせめて自分の心だけは自分に正直にいようと思っています。

別段嫌なことがあったわけでもないのですが、なにかにぶち当たった時、自責だけもよろしくないし自分以外のせいにするだけでもなくて自分が改善できることはないかと探してアップデートするのって大事だよなあ、と考えたのと、「やっぱ脱脂粉乳の件は腹が立つわ」(笑)とふと思い出したのでなんとなく。急に記憶の引き出しが開くことってままある。

猫のファマド

2020.2/11

2/7(Fri)~3/5(Thu)神保町いちのいち神保町店催事始まっております。連日のご来店、お買い上げ誠にありがとうございます。ヒツジフエルトの様々なアイテムが一堂に会する催事は今冬シーズンこのイベントがラストとなりますので、この機会に足をお運びいただけると嬉しいなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします!

そして、矢継ぎ早ではありますが2/21から始まるプウペ展のご紹介を。

2/21-3/1 人形とぬいぐるみの展覧会 「Poupée」プウペ展 at JAMPOT

”ファマド”と名付けたぶち模様とオッドアイの猫の人形を2点制作しました。こうやって固有名詞を付けたのはおそらく初めてだと思います。詳細は上記リンクをご覧いただけたらと思います。

ブローチやスマートフォンケース、キーケースなど小さな猫はたくさんつくってきましたが、こういう猫もつくりたいと思っていました。まずは近年制作してきた人形たちよりも大きなものがつくりたいという。それは猫で、そして名前を付けたいという。ファマドは私個人にとって内なる家族の集合体ともいえる存在です。子供の頃から長いこと猫と一緒に暮らさせてもらったことも大きいです。(今も一緒に暮らしたいと思うこともあるけれどなかなか難しく。)

普段の制作とはパワーの使い方が全然ちがう感じでした。それは人形だからでしょうか、がりがりとMPが消費されていく感覚でした。そしてこれは自分が今求めていた充実でした。ぜひぜひ実物をご覧になっていただけると嬉しいです。

イベントの納品と告知までできましたので、オーダー制作をまた引き続き進めさせていただきます。ご注文いただいているみなさま、もうしばらくお待ちくださいませ〜。

大きな納品が完了した。手が痛いので休めなければならないが、どうしてもタイピングしたい。

最近気になっているのが杉田玄白である。急に?

歴史の授業で江戸時代の蘭学医として習ったのを覚えている人もいるだろうか。杉田玄白といえばターヘルアナトミア、解体新書。オランダ語の医学書を前野良沢らとともに日本語に訳して出版し、それまで日本では薄ぼんやりとしていた人の体の中の詳細を広く日本に広めようとした人だ。この解体新書を訳していく過程や、オタク気質でありまじめで完璧主義のために自分たちの訳がまだ不完全と思える解体新書をそのまま出版することを止めようとした前野良沢とのやりとりが興味深くて脳がふつふつとした。完璧な状態で本を世に出したいという気持ちと、完璧ではないかもしれないがやれることをやり切り今出す意味があるのだと思う気持ち、両方ともよく分かる。昔も今も、同じように考え悩みながら生きているんだなということを知るととても頼もしい気持ちになる。自分が日本史好きで得意科目だった理由がちょっとわかった気がした。歴史を学ぶと今を学ぶことができる。ちいさな自分というものを大きな過去から見つめ直すことができる。兎にも角にもオーダー作品をお客さまにお届けして次の締め切りまで制作に耽り、解体新書界隈の本など読んでみなければ。もうしばしお待ちを。

2020年。

次の催事のため、ねこブローチをずっとつくっています。自分の中での軛を解放して動物モチーフを積極的につくるようになってずいぶん経ちました。初期のものとくらべてみるとだんだん変化しているのがよくわかります。ある種の成長、シンプルには変化、というものがまだ自分にもあるのかもしれない、と思えることは原動力の一つです。つくるという行為そのものと、締め切りまでに数を揃えること、事務作業とのせめぎ合いの中で今年も始まりました。

 

年末年始

2019.12/31

神保町いちのいちグランスタ丸の内店出店

好評開催中です。年末年始もお休みなく営業いたしますので、お近くの方も遠方の方もどうぞお立ち寄りくださいませ。

【グランスタ丸の内店年末年始の営業時間】
12月30日(月)・31日(火) 10:00~21:00
1月1日(水)~3日(金) 10:00~20:00
1月4日(土)・5日(日) 10:00~21:00
1月6日(月)より通常営業

私も年末年始通常営業で制作いたします。オンラインショップのご注文も冬休み期間に入って増えてまいりました。日頃お忙しくしているお客さまにも楽しんでいただけると幸いです。

石畳を歩く猫

2019.12/27

フルオーダーでマフラーをお作りしました。

裏側はシルクのシフォン生地を重ねて羊毛と一緒に縮めフェルト化させます。羊毛の色合わせとふさの色にあわせて黒のシフォン生地を使いました。

二つに折ってできた輪っかに端を通して使えるサイズをとのご希望で、長めの175cm。ボリュームがありつつ薄くて軽い仕上がりです。

今日は1日雨模様で日中は霰がぱらつく寒い日でした。外は深々とグレーの世界で、家の中はストーブをつけていて暖かい。山の上半分は霧がたっぷりとかかっていて雪が降ってもいるようです。あそこまで登ると寒いんだろうなあ。寒いと体を動かすのが億劫になってしまうのだけど、せめて掃除機はかけようと居間と寝室と工房だけ軽くお掃除をしてからオーダー作品を幾つか仕上げました。しっかり乾いたら明日には発送できそうです。裏庭をとぽとぽ歩くキジトラのねこを発見してひっそり喜びながら(どこの子だろう?)今日も過ぎていきます。苔のところじゃなくて石畳をちゃんと歩くんだな。苔は湿っているからねえ。

年末年始も変わらず、マイペースに制作をしております。お節料理の予約をしたし、年末は我が家恒例の紅白見ながらTwitter見てお蕎麦を食べるという行事をやりますが、あとは普通に工房にこもります。オンラインストアの受注などもお休みございませんので、よかったらふらりと遊びにいらしてくださいね。ヒツジフエルト縮絨室はいつでもみなさまのお越しをお待ちしております。

ペンとペン

2019.12/25

神保町いちのいち グランスタ丸の内店好評開催中です。

スタートして6日が経ちました。毎日多くのお客様にお越し頂けていて感謝の気持ちでいっぱいです。うれしい。クリスマスギフトにもしていただけているのかな?たくさんお届けしていますので、1/16までの期間中、ぜひぜひお越しをお待ちしております。

催事中はどんなアイテムが好評なのかを日々チェックしつつ、creemaのオーダーや個別のオーダー、来年のイベントの制作も始めています。

ラフスケッチや日記、アイデアを書くのに気持ちのいいペンNO.1は高校生からずっと長いことHI-TEC-Cの0.3mmペンでしたが、近頃はuniのJETSTREAM0.5mmも気に入っています。HI-TEC-Cはキャップを外さなくてはならないけれどJETSTREAMはノック式で書くまでのアクションが楽というのがまずあって、紙に文字を書くときの書き心地もいい。インクの紙の乗り方はHI-TEC-Cのほうが好きで、書き心地ではJETSTREAMが素晴らしい。手に伝わる感触は大事だなと思っています。書いている時にテンションが上がるのってけっこう重要。ささやかなことでテンションを上げて毎日を積み重ねていくのが楽しいな。

12/20(Fri)-1/16(Thu) 神保町いちのいちグランスタ丸の内店催事

いよいよ明日から始まります。新アイテムもおつくりしました。お時間ございましたらぜひお立ち寄り下さいね。制作して発送、次の制作としていたらUPが前日になってしまいました…。今回キーケースをめちゃたくさん作りましたので、今まで入手できなかったお客様にも届くといいなあと思っています。新作キーケースもできましたしうれしい。

 

田舎での制作と生活、2ヶ月が経ちました。ちょっと慣れてきたかなと感じています。一軒家なのでものを取りに行ったり作業をしたりするのに家中をあちこち移動する感覚とか、車の運転とか、庭掃除とか。朝はストーブをつけるところから始まるとか。新しいことは楽しいことでもあります。どうしたらうまくいくかを考えられるし体が慣れていくのも楽しい。週末だけ開いている美味しいパン屋さんを見つけたり、立派な野生のタヌキと目が合ったり。そんな中で繁忙期の制作を日々行っています。ものづくりの次のやり方に思いをはせる心の空間がすこしだけ空いてきたような気もしています。作業がより丁寧になってきている感覚もしているのですがその分仕上がるまで時間がかかるようになってきたなあ、という実感もあります。毎日お天気の様子を見ます。山に霧がかかる日、山に雪が積もっている日、晴れの日、文字通りの曇天の日。雪はまだ本格的に降ることなく、今年は過ごしやすい冬かもしれません。

アンナ・カリーナが旅立った。

初めて知ったのは大学生の頃。映画「ANNA」のリバイバル上映を観に行きその可愛らしさと美しさとチャーミングさ、以外と低い声、歌声とのギャップにすっかりやられてしまった1人だ。ゴダールと組んだ一連の映画も何本か観たりして、話はさっぱりわからん、だがアンナ・カリーナめちゃくちゃ魅力的や!!と。「修道女」も観たなあ。クルーネックのカーディガン、ボックスプリーツスカート、黒いコートに赤いマフラー、眼鏡。彼女のファッションも楽しくて自分はどちらかというと映画の内容よりもルックスに惹かれちゃったのだろう。ANNAの劇中で歌った「太陽の真下で」がとても好きでこの曲も入ったサントラは当時のヘビーローテーションだった。物の新陳代謝を活発にしているわたしが今も手元に残しているほどだ。18で田舎から出てきて大学生活を送り、アートを楽しみ、小さな映画館に通い出したあの頃の象徴的な思い出の一つなんだと思う。今現在に至る自分の礎。だからとっても淋しいな。ありがとう、アンナ・カリーナ。

今日はCDを引っ張り出して久しぶりにサントラを聴こう。