Blog

ヒロタが綴る日々の出来事

前頭前野

2022.3/15

身長ほどに積もっていた雪もあっという間に解けてゆき、窓を開けると空気の匂いが春に変わっていました。雪国に住む寒がりのわたしにとって春は殊の外待ち遠しい。地面が雪に覆われて見えなくなり、寒さをしのぎながらじっとしているから。住み始めた当初は都市部と比べて情報が削ぎ落とされずいぶんとほっとしたのですが、少なすぎるとこれまた物足りなくなるものなのでした。

毎年恒例、モチーフ依頼のデザイン画に取り組んでいます。あれこれと描いては没にし、そこでひらめきや気づきがあり、描き直してみつかることがあって、感覚が前にでてくる。やっているときに何かをつかんだような瞬間があったりもしますが、すべてをつかんだ気になってはいけない。驕ってはいけない。…こういう取り組みを何もかもに充てることは物理的に不可能なので、ゆえにすべての物事において「選択」というものが存在するのかなと思ったりしました。思考を言葉に変換しようとする癖をやりすぎている時、制作と外の世界をつなげようとし過ぎている時、「人間らしく」あろうとしすぎている時、いつも前頭前野が痛くなります。(最近気づいた)単に使いすぎで痛むのか、もともと低スペックなのにフル稼働するからオーバーヒートで痛むのか、そこは判断に迷いたいところです。

2022.3/11

人形をつくっています。頭部だけだとちょっとホラー。瞳は初めて使う真紅のガラスです。

ボディーをつけて現在はこんな感じ。まだ途中なのでこの雰囲気は今だけだろうな、と思い撮影しました。ここからしばらく寝かせて次の制作に入ろう。(締め切りがある)

ニードルフェルト、ウェットフェルト、絵を描く、これらを交互にしていかないといずれの感覚も取り戻すのに時間がかかるし単一作業は身体に負担がかかるので、いろんなことを並行してやるのが好き。

 

ところで、ジョージ・フレデリック・ワッツの絵画「希望」がじんわりと心に染み入るようになりました。というか、最近やっと作者とタイトルを検索してたどり着きました。たった一本の弦が残った竪琴に耳をぎりぎりにまで近づけ、その微かな音を聴いている目隠しをした少女の絵です。まだ残っている微かなものは希望かしらと。残っているものを聴こうとする、気付こうとするたくましい心。絶望と希望は表裏一体で、あなたはどこに目を向けるのか。または残っているのに「もうないのだ」と目を向けようとしないのか(見ないと決めるのか?)。見ないで悲しんだりするのは余裕があるからできることだよな、残っているものがあると本当は知っているからだよな、とか。いろいろな気持ちになります。寓意画って結構好きなんだなと気づきました。

雪です。車の雪を払い、庭に融雪用の水を流すために川を少しメンテナンスしてから水を出してきました。今日も制作です。昨日調べ物やラフスケッチをしてゆるっと固めたので、あとは実制作しながら発見や変化をしていく段階。創作は良いことでも悪いことでもなく、勝ち負けでもなく、内面のさまざまな闘争のようなものも含めた何かを作品に昇華させていくとても平和的な行為。長く敬愛する奈良美智さんの作品テーマの多くが「still alive」。この2つが、心の片隅にあります。

わたしの作家活動は22年目を迎えていて、長いこと手間ひまかけて育ててきた果物の木みたいなものです。その木を見てみると、実がなってはいるようだけれどまだまだ収穫には早そうで、今後も育ちや変化を見守っていくんだなあと思います。やれることはやっているはず。だけどまだまだ。なんだか心配になることもありますが、実はなってきている、はず。あせらずくさらずつつましく、謙虚さを失わず、チャレンジと同時にできるできないの線は引き、目の前の手仕事に向かおう。(そんなふうにいつもやれたらパーフェクト過ぎてもはやロボ)

先のことっていつだってもやもやとしてよくわからないし、見えないから不安。やるべきことやりたいことがあろうが無かろうがこういう気持ちは無くなることはないのでしょう。そんな気持ちに寄り添うのもお役目です。だからこそやれることに、ものづくりに取り掛かるのだと思います。制作の海へダイブして「酸素ボンベが足りないかも〜!」な時の苦しさと、追加のボンベを獲得する知恵と工夫と、ときどき獲得に失敗して「あららら」な時と、作品が完成した時の喜び。完成は、やっぱり皆さまの目に触れた時。

Creema Store3月の受注日をお知らせにUPしました。よろしければご覧くださいね。

しばらくは別の制作2件のラフスケッチ、デザイン画を描いていく期間です。またいずれお目に触れることになるかと思うので、楽しみにしていてくださると嬉しい。

先月はこちら北陸も大雪に見舞われました。雪国の古い家は積雪のことを考えて70〜80cmくらい高い土台の上に家を建ててあることが多くて、我が家もその作りです。そのためちょっと大きな階段を2段上がってから玄関の扉を開ける仕様なのですが、その階段の一段目が雪で埋まりました。1番日の当たらない場所だと150cmほど積もったかな?これだけ積もったのは子供の頃のぼんやりした記憶以来かもしれません。とは言っても昔ほど降り続けることはないので、根雪がない分あっという間に解けてくれて助かっています。(根雪があると3月に入っても雪で地面が見えないのです)とあるお家の前に置いてある小ぢんまりとしたHONDAの赤い除雪機がめちゃくちゃうらやましかったので、今年は絶対に買おう。

1日5分のトレーニングは馬鹿にできなくて、毎日続けたおかげで雪かきで腰を痛めることは全くなくなりました。すご。そのかわり、あまりの気温の低さに首肩がこわばり、ちょうど制作の佳境に背中を痛めて温湿布をしながら作業をするはめに…体の運用はなかなかむずかしい。寒さが和らいだら、こっちもあっという間に痛みが取れました。2月は今までで一番受注をいただけてとっても嬉しかったのですが、背中のことでやり切れるかどうか不安もありました。すべてお届けできて本当によかったですし、自分自身の何よりの喜びでした。ご注文、そして作品たちを気にかけてくださりいつも本当にありがとうございます。みなさまと羊毛とヒツジフエルト、それぞれの呼応によってこれからもやっていけたら嬉しいなと思っています。

ひと段落のご褒美に、フランスのアルプス山脈麓にあるグランド・シャルトルーズ修道院のドキュメンタリー「大いなる沈黙へ」を鑑賞しました。とても良かった…。タイトル通り修道士たちには沈黙の決まりがあり、BGMも照明もなしの自然光のみ作品で、修道院の日常がただただ粛々と綴られていきます。なのでときどき寝ました。それもまた良かったです。

Creema Storeの2月の受注はすべて発送完了しました。たいへんお待たせいたしました!

今月もご注文、そしてお待ちいただきありがとうございます。フェルト作品・アイテムに目をとめていただけること、ご縁をとてもうれしく思います。今回SOLD OUTでお届けできなかったお客さまとも次回以降ご縁があることを願っています。(つくれる量に限界があって…お手数をおかけします)

3月の受注受付は日時が決まりましたらまたこちらでお知らせいたします。1つ前の投稿で詳しく説明を書きましたので参考にしていただけましたら幸いです。

ひたすら手仕事に明け暮れる日々を送っていて、ふと顔を上げたらもう2月も終わりなのですね。3月はあんまり雪が降らないといいな、と願いつつ…

2月分のCreema Store受注フェルトアイテムは完売いたしました。たくさんのご注文誠にありがとうございます。受注のため現在制作中で少々お日にちをいただきますが、楽しみにお待ちいただけると嬉しいです。

今回ご注文いただけなかった皆さま、申し訳ございません。つくれる量やお応えできることに限りがありご不便をおかけすることもあるかと思いますが、何卒ご了承いただけますようよろしくお願い申し上げます。最近は販売開始の初日から2日で品切れになることが多いので、参考にしていただけますと幸いです。

次回の受注につきましては、

Instagramでの投稿をお客さまでチェックしていただくか、

ヒツジフエルト縮絨室のCreema Storeをフォローいただき、

マイページトップ→各種設定→メール受信設定→あなたにおすすめの新着情報を受け取る設定

をして再販をお待ちくださいませ。個別での対応ができませんので、どうぞよろしくお願いいたします。

私ができること、こつこつと丁寧に羊毛と向き合っておつくりしたものを皆さまにお届けしていきたいと思います。つくる喜びを実感できること、何よりのしあわせです。いつもありがとうございます!

カバンやポケットから耳だけが見えている風景を想像する

1月分のヒツジフエルト縮絨室・Creema受注を全作品お届けしました。ご注文いただきありがとうございます。温かいレビューも嬉しく拝読しています。品切れでご注文頂けなかった皆さま、申し訳ございません。次回は、2月5日 12:00頃に受注を開始いたしますので、もしよろしければご覧ください。

次の受注まで少しお日にちを取って、新たな制作を練ったりラフを描いたり調べたりして過ごそうかなと思っています。わたしは「何かつくりたいな」と「職人」との間を行き来しながら生きているっぽくて、それらが今は相互に心地よく作用しあっています。羊毛がフェルトになっていく過程が好きで、手仕事中の手触りそのものが好きですが、さすがにこの季節はお湯がすぐに冷めて冷たくなるのでウェットフェルトをする際はちょっと気合いがいります。

作品は意図の及ばない所にあって、それを呼ぶためにコツコツ積み重ねるとか、あれこれラフスケッチを描くとか、丁寧に作業をするとかを楽しむのが自分のできること。いいものをつくろうとか、評価されたいとか、テーマとか、そういうコントロールを手放すとつかめそうな尻尾が見えてくるみたいです。あたまは造形的思考をメインに使う。それでもぴょこぴょこコントロールしたい欲はやってくるので、毎度「やってきましたね」と話しかける。心と行動がつながっていればだいじょうぶ。苦手な事務作業も、「やだな〜」と「でも今やるか〜」という矛盾する気持ちがわかっていて作業するのと、「やだな〜」が子どもっぽいから自分の中に無いものとして作業するのとでは随分と違う。そんなことを思ったりしました。

斜める猫ら

2022.1/23

すべてのものは微細なバランスの上に

 

1月分のCreema受注は第4便までを発送しました。たいへんお待たせいたしました!そしてお受けした順に引き続き制作中です。丁寧におつくりしてまいりますのでもうしばらくお待ちくださいね。

今月分のフェルトアイテムは完売しております。もし気になる方がいらっしゃいましたらストアをご登録いただき、

マイページトップ→各種設定→メール受信設定→あなたにおすすめの新着情報を受け取る設定

をして再販をお待ちくださいませ。どうぞよろしくお願いいたします。

一期一会

2022.1/14

ここから旅立ち

Creemaのオーダー、3便目を発送いたしました。積雪と感染症拡大による配送作業員の方々の行動制限により、発送後の到着がふだんより遅れることもあるそうです。さらにお待ちいただくことになり申し訳ないのですが、ご了承いただけましたら幸いです。というか、お客さまから「ゆっくりどうぞ」などなどのお心遣いあふれる温かいメッセージ、コメント、レビューをいただいていて、その優しさにすごくほわっとしております。おなじみの皆さま、お顔を拝見したことはないけれどお取引してくださる皆さま、その他多くの皆さまに支えられているんだな、と日々感じています。ありがとうございます。一方で、細かいメッセージのやり取りがないさっぱりとしたお取引も大好物です。さっぱり派の皆さまもありがとうございます。しっかり制作でお返ししたいと思います。