春の制作と納品ラッシュを無事終えて、昨年からやりたかったことに着手しました。そう、畑。
手始めに選んだのはミニトマトとピーマン。好きな野菜。野菜はだいたい好き。肉も好き。魚もよく食べる。
畝とよばれる長い盛り土を1本つくるだけで骨が折れました。なにせ何十年も畑として使っていなかった場所を、畑仕事をほぼしたことがない人間がえっちらおっちら耕すのです。でも、それもまたウケる〜とか思って。雑草はまめに刈ってはいるけれど、それらの根っこがいっぱい張っているので鍬が引っかかりやすく、かなりの力仕事でした。甘い考えで「畝2本にしようかな〜」とぼんやり夢見心地でしたが、欲張らずに今年は1本でまずはやってみようと思います。
起こした土に肥料を混ぜ込んで2週間ほどおいて畝の土に栄養が染み渡るのを待ち、そこから苗を植えます。せっかちな自分、今日すぐにでも「まあええやろ」と植えがちなところをぐっとこらえ、先人の知恵に倣い2週間待つことにしました。
植物というやつらの生命力はとてつもなく強いです。彼らは単体ではなく集団での団体戦で、草を刈っても刈ってもどんどん茂ってくる。うちの庭はヨモギやドクダミもよく生え、入浴剤とか虫さされの薬でもつくってみようかしらと思うほど。とはいえ毎年ぐんぐんと芽を出し育ち、秋になると枯れて一冬を過ごし、春になればまた芽を出すというサイクルの繰り返しに感じ入るところがあります。
思い返せば、私が子供の頃は近所のあちこちに一族が住んでいました。その中でも一番仲良くしてくれた親戚のおばちゃんの畑のお世話を手伝ったり、田植えをちょっとだけ手伝ったりもしました。それは遊びの範疇でしかなかったけれど、今自分がここで慣れない鍬を振り下ろして畑を作っているのは遺伝子か、過去の記憶か。よくわかんないけど面白がれればそれでよき。自分のもつ軽やかな部分と、相反するずっしり重たい部分を耕しながら心身のバランスを整える。5月の風は汗をかいた首筋をすり抜けて、どこかへ流れて行きました。