やわらかくたたかう女
2008.12/2
家を出たら知らないおじさんが通路に立っていた。
私に気付くとこちらに歩み寄ってきたので
危ない人だったら戦わねばと
猫並みに全身の毛を逆立て身構えていたら
異様なテンションで「今年優勝したから!プレゼント!」
と、こちらが口を挟む間も与えず「これもあげる、これもあげる!」
私の両手にカレーセットやタオルやら金券やらを積み上げ、
その超マシンガントークの流れと勢いでひと言、
「三ヶ月だけ新聞購読して応援してあげて!」
・・・昨今の新聞勧誘はすごいな。
「いや〜、私学生なんでお金もないですし他の新聞読んでますし」
「三ヶ月だけだから応援してあげて!優勝したんだし!」
「テレビ見ないのでそのことも知らないんですよ」
「両隣さんも読んでるよ!」
「はあ、そうですか〜・・・」
「何新聞読んでるの、○○?それとも○○?」
「いや〜、まあいろいろと」
「どこ?どこなの?○○か?三ヶ月だけ、あかんか?」
「そう仰られても無理なので、これは購読してくださる良き方に
差し上げてください。」
丁重にお断りして貢ぎ物の山を差し出したが、
「そうか、あかんか」
と貢ぎ物を再び受け取ったおじさんに吹き出しそうになった。
あれは営業アイテムなんだな。
貢ぎ物の積み上げから購読のお願いまでの流れが神がかっていた。
そして私は疲れた。
ちなみに勿論、学生ではない。
しかしこの場合の嘘は、よいでしょう・・・
と思いつつも、若干凹む。