廣田良子個展
Kitchen
2009年10月28日〜11月21日
(OPEN 水・木・金・土)
ama Gallery
大阪府堺市八田北町891
<企画趣旨にかえて>
どこかで「家族」を求めている。
幼い頃、ほぼ毎日 朝ごはんと夕ごはんは家族揃って食べていた。
私にとって台所は、家族の象徴である。
食事の手伝いをしたり、ごはんを食べながら
その日あったことを話したり成績や絵を褒めてもらったりした。
塾をさぼったことがバレて怒られもしたし、反抗期だってあった。
喧嘩をすれば自分の部屋に逃げ込んだ。
けれど翌朝起きて台所に行くと、
ちゃんと朝食とお弁当が用意されていて
「おはよう」と言い合うことができた。
繰り返される日常、何気ない会話、大切な対話、
当たり前のように毎日帰る場所。
大人になり一人暮らしが長くなると
あの当たり前の風景が
どれだけ自分を支えてくれていたかということを強く感じる。
私を支えてくれていたものは、年月を経て姿形を変えた。
これは自然なことで、本来なら次は私が
新しい「台所」の風景を創っていく番なのだろう。
台所で交わされた会話、人とごはんを食べたこと。
「Kitchen」なんて格好つけたタイトルにしてしまったけれど
今回私が表現したいのは
台所を中心とした 温かくて少し気恥ずかしく
ちょっとほろ苦い、そんな作品と空間。
台所にまつわる記憶と憧憬との
コラボレーションができたらいいなと思っています。