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ヒロタが綴る日々の出来事

祈るプリンのエンプレス

2021.10/28

作品は旅に出る。それは自分の代わりでもあるようだ。一生懸命につくり、数を数え、すべてにプライスシールを貼り、ディスプレイを考え、必要なポップを作り、箱に詰めてしっかりとまとめ、車に乗せて隣町の運輸会社へと出発したのは日も暮れてからだった。なぜいつも当日ぎりぎりまで作業をしているのだろう、なぜひとりしかいないのだろう、あと1日あったら少しは余裕なのにと思うのに、体は「本当の締め切り」ってやつを知っていていつもこの調子だ。締め切りはとても苦手。いつも守っているけれど、大切さもわかっているけれど、それとこれとは別のことなのだ。

しかし締め切りはわたしと世界をつなぐ橋でもある。

到着したら出発を待つ大きなトラックたちがわたしたちを迎えてくれた(ように思えた)。手続きをしてくれる事務の方も明るく親切で、救われる思いがした。締め切りに間に合う、というこの瞬間、心底安心しほっとする。これから夜を駆け作品を届けてくれるだろう。等間隔のオレンジのランプに照らされた高速の道をトラックが走り続けるのを想像する。いつもありがとう。

そしてお店の方たちは荷ほどきをしてくれ、たくさんの数を数えて確認し、棚に並べ、お客様に作品のことを伝えたりしてくださるのだ。

どうか、届きますように。

ごほうびにプリンを買って帰った。わたしは固めプリン原理主義者であり、まさに希望通りのプリンでとてもうれしかった。