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ヒロタが綴る日々の出来事

ちいさな1人工房が届けたいもの

2020.12/8

本日は雨の1日。次の催事と冬のおくりもの展の追加の制作をしています。冬のおくりもの展の追加分は完売していた溜まるブローチで、5色を各1つずつ明日には発送できると思いますのでどうぞ宜しくお願い致します。

わたしは大学卒業後、京都のアヴリルという糸の会社で働いていました。当時は社員も少なく、前社長の出張によく同行させてもらったりしてかなり薫陶を受けたように思います。教えてもらったことで今もよく覚えていることのひとつが「原料が素材になり、製品になる」ということでした。それは当たり前のことですが、自分は今以上にボンヤリすぎていてまったく意識していなかったことでした。「廣田さんが今着ているそのチェックの服の生地も、原料は誰かが時間をかけて育てた綿花で、それをよりあわせて糸にし、染め、縦と横の糸を織り上げて布になっている」。何気なく買っているものが手元に届くまでには気の遠くなるような行程がある。

わたしが扱っている羊毛もそうです。大切に育てられた羊から毛を刈り取り、部位を選別し、洗って染めてスライバーという線維の束になってイギリスから送られてくる。(私が主に使っているのはイギリスのメリノウールです)そこから自分が色を混ぜ、作品の意匠を考え、制作し、できたものを届ける。

ものにはすべて物語があるということ。自分の制作物だって、制作した年齢、時期、今注目しているものによって様々です。「これをつくって欲しい」というお声があってつくるものもあれば、お声があっても自分の中に落とし込めなければつくらない。そして、暗い話ではないけれど、「わたしは永遠には生きていない」。チャンスは自分の手で掴みに行かないといけない。だからこそ作品集をつくろう。そう思っています。

今つくっている作品集も、これまでのわたしの歩みと、作品集づくりに携わってもらっているいろんな方々の物語と力が合わさっています。

ものが手元に届くまでのことを「自分はボンヤリしていて意識していなかった」と書きましたが、日頃から意識して暮らしている人はまだまだ少ないのかもしれない、とも感じています。日々の生活はあまりにあわただしいから。私のつくっている作品や本は、生きるには必要のないものだけど、人はパンのみに生きるにあらず、バラの花も必要であると思っています。なぜなら自分は本に、映画に、アートにとても救われているからです。受け手としてもです。

今の時代だからこそアートの力を発揮したい。

作品集をつくる理由は、何個でも出てきます。皆さんが家でも楽しめるものをつくろう!という意味もあれば、仕事を残すという意味もあれば、国内外にお届けして知ってもらうどー、今後もつくっていくどー!という意味もあります。そんなことも日々考え、今ここを読んでくださっているお一人お一人に作品集が届けばいいなと思っています。

 

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何卒ご支援を宜しくお願い致します!